季節の料理、養生、土づくり、その先に社会があることを実感ー「土と水と養生で暮らすまちづくり」のイベントに34人が参加

 「土と水と養生で暮らすまちづくり—季節の家庭料理と郷土料理から考える会」が9月30日(月)18:30~ コミュニティキッチンDAIDOKORO(京都信用金庫の共創施設QUESTION8階)で開催され、34人の方々に参加いただきました(主催者・スタッフを含めると45人)。季節の料理を楽しみながら、土と養生、お料理、農業や健康のあり方、環境問題、まちづくり、あらたなビジネスの可能性について語りあう場として当社が企画し、一般社団法人日本養生普及協会様一般社団法人ライブフーズ様の協力のもとで開催されました。

 第一部「農と養生、まちづくりをお料理から考えるトークセッション」では冒頭、料理研究家・土井勝氏のご長男であり、お料理プロデューサーの土井敏久氏が、鰹節と昆布をベースに家庭でも簡単に作れる「二番だし」を参加者の皆さんに飲んでもらい、その美味しさを実感してもらいながら、「二番だし」のつくり方を実演しました。そして、「二番だし」を手作りすることを通して、人と人との対話をしていくことの重要性をつたえました。 

「二番だし」のつくり方を実演する土井敏久さんと伊藤佳世さん
「二番だし」を飲んでみる

続いて、明治国際医療大学・伊藤和憲教授より、東洋医学の「養生」という考え方では、季節の食材にその季節に必要な栄養素が含まれていると考えており、その季節の走りの食材を取ることで、身体を準備することが大切と考えられてきたことが解説され、この日の料理に料理に含まれる素材が、冬に備えて身体を準備するものになっていることが強調されました。そして、今日の病気には社会的要因も大きいとして、「養生」を基本とした地域社会づくりをとして、貧富の格差を含めた社会問題の解決をめざしていく構想がしめされました。

「食と養生」についてお話する伊藤和憲明治国際医療大学教授

 最後に、当社代表の松田より、季節の旬の野菜をはぐくんでいく上で、土壌中の有機物の量やバランス、微生物が重要であることが解説され、土壌の健康診断の指標としてのSOFIX(土壌肥沃度指標)の概要やその事例などがが紹介されました。そして、「土づくり」にこだわった農業と旬の農産物を基本として、人々が心身ともに健康な生活を送れる地域づくり、「土と水と養生で暮らすまちづくり」をよびかけました。

「健康ライフを支える土壌づくり」についてお話する当社代表・松田文雄

 第2部「季節の料理を楽しむ」では、土井敏久さんプロデュースの季節のお料理を楽しみながら、参加者同士で和やかに意見交換しました。

 『実りの秋!養生美健のお献立』

⚪︎秋刀魚の柚子香焼き
⚪︎栗と豚肉の煮物
⚪︎海老のらくがん
⚪︎菊菜としめじの煮浸し
⚪︎里芋のみそ田楽
⚪︎ぶどうのおろし和え
⚪︎新米ご飯
⚪︎お吸い物

季実りの秋!養生美健のお献立
参加者同士で和やかに交流

養生や健康を作るのは個人だけでなく、社会全体で取り組むことという考えに共感–参加者の感想から

 参加者へのアンケートでは多くの感想が寄せられました。その一部をご紹介します。
 参加いただいたみなさんに改めてお礼申し上げます。

〇恥ずかしながら若い頃に養生を学んだときは表面のさらに表層だけで「季節のものを食べて体を養おう」くらいしか理解できてなかったのですが、年の重ねた今、今回のお話を聞いて、「養生は自分という体、体は肉体であり、その先に社会、社会の取り組みあり、それが世界を作っていくこと」ということが何となく体感として分かったような気がします。一朝一夕ではなく、日々の取り組みとして「出汁のとる」=世界を支えていく、ということを実践していきたいと思います。ありがとうございました。

〇有意義な時間を過ごさせていただきました。ありがとうございました。家庭料理は和やかなコミュニケーションの潤滑油になるのだなと感じました。養生や健康を作るのは個人だけでなく、町や社会全体で取り組むことという考えに共感します。ありがとうございました。感想から

〇統合医療で世界の伝統医療を学んでいますが、日本人には日本人に合った養生法があると再認識できました。伊藤先生がおっしゃっていた現代版養生論を、看護師の立場で普及していきたいです。子どもが小さな頃は出汁にこだわって育児してきましたが、さいきん出汁をひかない重ね煮にハマって出汁のうまみを忘れていました。土井先生の二番だしをマスターしたいと思います。松田先生の土と水と養生のご講義、食の根底にある自然界との調和や、土壌ミネラルの重要性、この認識を農家さんや農業関係のみなさんと共有できたことで、真の健康や養生を理解することができ

〇養生の深い意義が理解できました。

〇養生、日本の節句、もう一度見直す必要があると思いました。食材の組み合わせ方は非常に勉強になりました。

〇今回のように美味しい食事があると、実践に繋がるので有難いです。

〇季節ごとに参加したい

〇とても勢いを感じました。美味しいお食事も頂き心豊かになりました。出汁に関して難しい事は考えず昆布出汁は取っていましたが、二番出汁の取り方をお聞きして作ってみようと思います。

〇家庭料理に凝縮された暮らしの知恵、土づくりの大切さ、季節への感性、改めて体感いたしました。

〇地域の方々との交流を含めたその地ならではの多様な展開を期待しております。

、家族に食事を提供しております。手作りを心がけてますが、出汁は顆粒にたよってました。こうしなければならないではない、ゆるい2番出汁は、いろんな可能性があると感じました。ありがとうございます。

〇家族に食事を提供しております。手作りを心がけてますが、出汁は顆粒にたよってました。こうしなければならないではない、ゆるい2番出汁は、いろんな可能性があると感じました。ありがとうございます。

〇高齢者の多くは、食事作りがしんどいと言われます。高齢者の栄養はとても重要で、高齢者に焦点を当てたレシピ作り及びまちづくりに関心があります。


SOFIXを活用した果樹園復活プロジェクト(福岡県朝倉市)のロケ撮影を実施

ソイル・コミュニケーション合同会社は、かねてより福岡県朝倉市で、2014年前の九州北部大水害で使えなくなった果樹園を再生するプロジェクトのお手伝いをしています。土砂崩れなどで荒廃した土地を整地し、流亡した有機物や肥料成分を補い、新たに桃やスモモの苗木を植えるにあたり、SOFIX(土壌肥沃度指標)による土壌診断を活用して頂いています。このプロジェクトを取り組んでいる原田淳一さんは、再生した果樹園を、将来的にはお客さんが桃やすももだけでなく、四季の旬の食べ物や、収穫体験、キャンプなどを楽しみながら心身ともに健康となる「養生」のコンセプトとした観光農園にすることを構想されています。

 このたび当社は、こうしたプロジェクトを広く社会に発信していくためのプロモーションビデオを作成するため、9月14日〜15日、福岡県朝倉市の原田さんの果樹園でロケ撮影を行いました。

 協力して頂いたのは、369(ミロク)ラボの藤添尚子さんです。藤添さんに本プロジェクトのコンセプトをご理解いただいた上で、藤添さんのディレクションのもとで、原田さん、当社代表の松田の3人で果樹園中を歩き回り、ああでもない、こうでもないと議論しつつ、撮影しました。

 今回のプロモーションビデオの作成は、9月30日に開催する「土と水と養生でくらすまちづくりー季節の家庭料理と郷土料理から考える会」のイベントとも連動しており、「土と水と養生」を基本としながら、様々な方と連携して、まちづくりや地方創生、地方から新たな農業やビジネルを生み出していくという方向で取り組んでいます。

台風により延期⇒【予告】当社代表が三重短期大学地域連携講座で講義

 テーマは、「持続可能な未来社会の可能性切り開く有機農業や”農”的な市民生活」です。

 農業就業人口の大幅減少・高齢化、農薬・化学肥料の多用による土壌の疲弊、猛暑などの気候変動による農産物の成育不良、農薬・化学肥料・燃料等の高騰などがすすむなかで、プロ農家のなかでも、より良い農産物の生産や地域活性化をめざして有機農業や循環型農業を取り組む動きが強まっています。政府や自治体も「みどりの食料システム戦略」などで、これらの動きをバックアップしています。

 また、農家でない一般市民のなかでも、東日本大震災、コロナ・パンデミック、気候変動、ストレスフルな生活を経験して、「大量生産・大量消費」の持続不可能な社会、ライフスタイルに疑問を持ち、「農的生活」を志向する人々が増えています。

 今回は、そうした動きを、いくつかの具体的事例をもとにして紹介し、それらが持続可能な未来社会へとつながっていく可能性について参加者とともに考えます。

 なお、有機農業を取り組むプロ農家の事例のなかでは、SOFIX(土壌肥沃度指標)技術を活用した事例も紹介しています。

 三重短期大学地域連携講座は、どなたでも参加できます。参加申し込み等は、下記の三重短期大学地域連携センターまでお問い合わせ願います。

 ・演題:持続可能な未来社会の可能性切り開く有機農業や”農”的な市民生活
 ・講師:松田 文雄
     (ソイル・コミュニケーション合同会社代表社員、奈良女子大学特任教授)
 ・日時:2024年8月31日(土) 13時30分~15時00分
 ・場所:三重短期大学 校舎棟4階41番教室
 ・案内:大畑 智史(法経科 教授)

〒514-0112 津市一身田中野157番地
三重短期大学 地域連携センター
(TEL)059-232-2341(FAX)059-232-9647
(Email)232-2341@city.tsu.lg.jp

三重短期大学地域連携講座のページ

気候変動等に対応した品種を開発ーータキイ種苗

 7月3日(水)、タキイ種苗(株)が運営するタキイ研究農場(滋賀県湖南市)の見学会の参加しました。この見学会は、京都種子(タネ)と食の安全を守る会準備会がよびかけたもので、約20人が参加しました。

 農業生産にとって重要な種子の研究開発や生産がどのように行われているかを実際に見学しようというのが趣旨でした。

 タキイ種苗は、天保6年(1835年)に大森屋右衛門(初代瀧井治三郎)が優良な在来種を採取し、希望に応じて分譲を開始したのが始まりです。その後、世界的な種苗メーカーとして成長しています。

 タキイ種苗はそれぞれの時代のニーズに応じた種苗の品種改良のための研究開発に力を入れています。この滋賀研究農場は全体で70haの広大な敷地があり、そのうち30haが実験圃場となっています。研究農場や試験地は、滋賀のほか全国に5箇所あります。

 見学会では、まず本部棟で技術顧問の岸田英三さんからタキイ種苗の取り組みついて解説していただきました。

 タキイ種苗が研究開発で現在、力をいれていることは、①気候変動のあわせた品種の開発、②病気に強い品種の開発、③リコピン、アントシアニン、ペクチンなど機能性成分の含油量の多い品種の開発などです。これらの品種の開発のため、DNAマーカーを使った選抜やゲノム情報に基づくデザイン育種を行っていますが、遺伝子組替は行っていないということでした。その理由は、消費者や生産者から受け入れられないからということでした。

 種苗の生産は、おもに海外でおこなっているとのことでした。たとえばホウレンソウであればデンマーク、玉ねぎであればイタリア北部やギリシャなど。それぞれの野菜にあった気候があることと、労働力が確保できることがそれぞれの理由です。

 さらに徹底した品質管理により、高品質の種苗を生産者に届ける活動をしているということでした。

 参加者からの「減農薬で野菜を育てる方法」について質問に答える形で、岸田さんからは食用の納豆のの残りから納豆菌を培養して、水で100倍希釈する方法や食用の酢をもちいる方法窓も紹介されました。

  そのあと、実際の栽培実験をおこなっている、トマト、なすび、トウモロコシ、オクラ、ズッキーニなどのハウスや圃場などを見学しました。

 

 

有機資材品質指標(OQI)の分析項目に含水率を追加

 ソイル・コミュニケーション合同会社は、有機資材品質指標(OQI)分析の分析項目に関して、4月受付分より、従来の9項目に含水率を加え、下記の10項目といたします。分析項目が追加となりますが、料金は変更ありません。

 良い「土づくり」をおこなうためには、土壌の分析とともに使用する有機資材の分析も必要となります。有機資材品質指標(OQI=Organic material Quality Index)は、米ぬか、油かす、大豆かす、牡蠣がら、魚粉、骨粉、液肥など非発酵系の有機資材の品質を正確に評価する分析手法です。

【追加の理由】

 OQI分析のために送られてくる有機資材は種類が様々であり、液体成分の物もあれば、水をほとんど含まないものもあります。そういったものを資材として評価する際に、同じ全炭素量が30,000(mg/kg)であっても、含水率が1%と90%であれば、実際の肥料成分は全く異なります。

 そのため、その資材の特徴を正確に知るために、含水率が必要な要素であると考えたため、含水率を分析項目に加えました。

土づくりから健康で楽しい生活を送れる社会の実現へ――2024年 新年のご挨拶

ソイル・コミュニケーション合同会社
代表社員 松田文雄

 皆様、新年おめでとうございます。

 穏やかな正月を突然断ち切るようにおこった能登半島地震。犠牲になられた方にお悔やみを申し上げます。被災された皆様にお見舞いを申し上げるとともに、一刻も早い復興を祈念しております。

ソイル・コミュニケーションという社名に込めた思い

 ソイル・コミュニケーション合同会社は、当社代表・松田の個人事業を法人化し、昨年(2023年)3月に設立いたしました。

 ソイル・コミュニケーションという社名に込めた思いは、地球温暖化や担い手の高齢化などにより日本の農業が危機的な状況におかれているもとで、農業にもっとも重要な「土づくり」を基本にした3つの対話(コミュニケーション)ーー①土壌と人間との対話、②農業生産者と生活者との対話、③過去・現在・未来との対話ーーを通じて、持続可能な社会を実現することです。そのめざすところは、だれもが健康で楽しい生活を送れる社会です。

▶【詳細】ソイル・コミュニケーションの3つの対話

理念実現へむけて第一歩

 昨年は、非常にゆっくりとした歩みではありましたが、この理念の実現へむけた第一歩を歩み始めました。

 「1.土壌と人間との対話」に関しては、SOFIX(土壌肥沃度指標)技術を活用して、各地の農家さんの土壌の分析、分析結果の解説、土壌の処方箋の作成などのお手伝いをさせていただきました。

 6月26日に開催された第13回SOFIX実践事例研究会(一般社団法人SOFIX農業推進機構主催)では、一昨年来、福岡のトマト農家さんに伴走して取り組んだトマト青枯病低減の事例について発表させていただきました。

 「2.農業生産者と生活者との対話」に関しては、福岡県朝倉市で、高齢化と担い手不足、九州北部豪雨災害の影響で耕作放棄された果樹園を観光果樹園として復活するプロジェクトを支援させていただきました。

 11月11日には一般社団法人日本養生普及協会学術集会に参加し、地域全体で、健康的な生活を送れるようなコミュニティをつくること、そのなかには、旬の食べ物を食べ、季節に根差した祭りやイベントなどを通して、地域の人々がつながっていくことが重要であることを学びました。そのようなコミュニティづくりのため、「土づくり」の側面から参画させていただく方向で日本養生普及協会様とも意見交換をさせて頂いています。

 「3.過去・現在・未来との対話」では、神戸学院大学が取り組んだ「土壌中の炭素貯留による低炭素社会の構築のための学校校庭の芝生化と有機農業の推進」という研究プロジェクトに参画させていただきました。このプロジェクトでは、学校の校庭の芝生化によって炭素貯留がすすむことについての有意なデータを得ることができました。

「農的生活」を楽しむ人々も持続可能な農業を支える

 以上のソイル・コミュニケーション合同会社の仕事とは別に、私は、昨年5月から個人の立場でNPO法人京都土の塾に参加させていただきました。

 京都土の塾は、私の自宅の近くの京都市西京区大原野石作地区の耕作放棄地約3haを整備して、農薬、化学肥料はもちろん農業機械さえ使わず、ツルハシ、スコップ、鍬、鋤等を使い、自ら体を張って土と向きあい、さまざまな農産物を創っています。

 その理念は、経済効率優先の現代において、お金さえあればなんでも買え、人まかせ、季節無視、産地無視の「食」が当たり前のようになっている社会のありかたに疑問を呈し、「楽を求めるのではなく、他の生きものと対等な”素手”で、自分たちの食べ物を作り、自然界の命を”生命の糧”としていただく」ことです。

大根の間引き作業

 私はこの塾に参加して、鍬やスコップで額に汗をしながら育てた季節の野菜の美味しさ、ありがたさに感動しています。11月以降は、スーパーなどで一切野菜を買う必要はなく、畑で採れたての野菜で日々の食事を作っています。こんなにワクワクした経験ははじめてです。

 京都土の塾には、こうした「農的な生活」に共感される多くの方々が参加しています。こうした動きは、プロの農家さん、農業法人とならんで、今後の日本の農業を支える重要なファクターにあるのではないかと感じました。

多くの皆様のご支援に感謝いたします

 少し脱線しましたが、以上のように、亀のような歩みでありますが、何とか前進できたきたのも、数多くの方々のご支援のおかげです。改めて御礼を申し上げます。

 2024年も、ソイル・コミュニケーションが掲げる3つの対話を忘れず、活動していきたいと考えます。

 皆様のご指導、ご鞭撻をよろしくお願い致します。

SOFIX実践・事例研究会で代表・松田がトマト青枯れ病低減の事例を発表

 一般社団法人SOFIX農業推進機構が主催する「第13回SOFIX実践・事例研究会」が6月26日(月)18時~オンラインで開催されます。

 このなかで、ソイル・コミュニケーション合同会社代表の松田文雄が、福岡めぐり菜園の飯田慎也さんとともに、トマト青枯病低減の事例について発表させていただきます。

 詳細のプログラムは下記の通りです。

 この研究会は、同機構の会員向けのプログラムですが、一般の方も1回に限り無料で参加できます。参加の申込は、下記のSOFIX農業推進機構の申込フォームよりお願いします。

第13回SOFIX実践・事例研究会プログラム

日時:2023年6月26日 (月) 18時~ 
   ZOOMによるオンライン方式で開催


<テーマ1>
SOFIXによる施肥と栽培管理でトマトの青枯れ病の抑制と収量の向上を目指す
ソイル・コミュニケーション合同会社 松田文雄
福岡めぐり菜園 飯田慎也


<テーマ2>
除草剤使用により樹勢衰退した サクラの樹勢回復について ~その後の進展状況~
アイキ樹木メンテナンス株式会社 喜多智靖


■参加方法
下記の申込フォームから参加登録してください。すぐに参加の招待状(ZOOMのURL)が自動返信されます。
<ご注意!!>
もし、参加登録したのに1時間以内に返信メールが届かない場合は、返信メールが「迷惑メールフォルダ」に振り分けられている可能性が高いので、ご確認をお願いします。
 参加登録はこちらから 
   ↓
 https://ssl.form-mailer.jp/fms/3a5ad784787926

肥料コスト低減につながる堆肥を使うには品質の見極めが大事

 ロシアのウクライナ侵攻以降、化学肥料の価格は一時は前期比で2倍近くに高騰しました。2023年6月の時点では、肥料価格は少し落ち着き始めてはいますが、依然として高止まりしていることには違いありません。くわえて、電気代、燃料代、種苗代、その他農業資材の価格が軒並み値上げされています。そうしたなかで、地域の堆肥や有機資材を使って、肥料コストを少しでも低減させていこうという動きが広がっています。

 しかし、注意しなければならないのは、地域の堆肥のなかには品質の良くないものも多く含まれていることです。立命館大学発の土壌診断技術SOFIX(肥沃度指標)では、堆肥の品質を特A、A、B、Cの4段階で評価していますが、分析した牛糞堆肥の68%がC評価であったという結果も出ています。そのため、堆肥を使う上では、その品質を良く見極める必要があります。

肥料価格の高騰は構造的な問題

 肥料価格は、2021年ごろから上昇傾向にありましたが、ウクライナ戦争直後の2022年の秋肥は、尿素(輸入大粒)が一気に94%、塩化加里も80%も値上げされるなど、前代未聞の大幅値上げとなりました。その後、2023年春肥は値上げ幅が小幅となり(尿素は9%値下げ)、2023年秋肥については5%~44%の値下げとなりました。しかし、2021年以前の水準には戻っておらず、依然として肥料代が高騰している状態は続いています。

表1 肥料価格の高騰(2023)

2020
肥料年度
秋肥
2020
肥料年度
春肥
2021
肥料年度
秋肥
2021
肥料年度
春肥
2022
肥料年度
秋肥
2022
肥料年度
春肥
2023
肥料年度
秋肥
尿素(輸入・大粒)▲4.5%▲2.0%24.00%18.00%94%▲9%▲37%
尿素(国産・細粒)▲5.7%▲1.7%12.10%18.00%73%11%▲28%
硫安(粉)6.90%▲0.9%10.00%10.60%45%8%▲20%
過石▲0.2%5.30%4.90%25%15%▲7%
重焼りん▲0.6%5.30%4.60%25%16%▲5%
塩化加里▲4.4%▲7.3%8.00%17.00%80%31%▲44%
けい酸加里▲1.3%▲1.9%2.70%4.00%36%13%▲19%
高度化成(基準銘柄)55%10%▲28%

 こうした肥料価格の背景として、ウクライナ戦争の影響によって、塩化カリウムの産出国であるロシアやベラルーシからの輸出が停滞したことが大きな要因の一つとして挙げられます。しかし、それは「追加要因」の一つにすぎません。より大きな問題は、ここ数十年前から始まっている肥料をめぐる世界的な需給のひっ迫という構造的な問題です。

 まず需要の側から見ると、世界の人口増加です。1990年に50億人だった世界人口は2020年には77億人となり、2050年には91億人に増加すると予測されています。人口が増えれば、当然、人間が食べる穀物の増産が必要となり、そのための肥料の需要が増えます。

 さらにBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)などの中進国の経済が急速に発展し、人々の生活が豊かになると、食生活も変化し、肉を多く食べるようになります。そのためには、より多くの家畜を育てるための飼料として穀物が必要になります。牛肉1kgを生産するのに穀物が11kg、豚肉1kgを生産するのに穀物が7kg必要となります。こうした飼料用穀物のためにさらに肥料の需要が増えてきました。

 それに加えて近年の「追加要因」としては、石油にかわる持続可能なエネルギー源として、アメリカやブラジルなどを中心にバイオ燃料の生産が活発になっていることです。これは、トウモロコシやサトウキビの糖を発酵させてエタノールを生産するものです。これらのトウモロコシやサトウキビの生産のためにも肥料の需要が増えています。

 他方、供給の側を見ると、そもそも化学肥料の原料の産出国が、特定の国に偏在しているという問題があります。

 リンの原料であるリン鉱石は、アメリカ、中国、モロッコの3か国で世界の生産の7割を占め、さらに上記6か国となると全体の9割を占めています。

 カリウムの原料であるカリ岩塩やカナール石などを輸出できるのは、カナダ、ロシア、ベラルーシ、ドイツ、イスラエル、ヨルダンのみです。

 窒素肥料は、空気中の窒素を固定化して製造するので、原料は世界中にあるといえますが、その合成の過程ではナフサや天然ガスを使うので、やはりその生産国の影響を受けます。

 また、肥料の生産・輸出大国であった中国やアメリカは、国内需要が増えすぎているため、輸出にブレーキをかけています。

 近年の「追加要因」としては、コロナ・パンデミックによって、世界的なサプライチェーンが混乱し、肥料原料の輸送も滞ったことが挙げられます。そして、ウクライナ戦争によって、ロシア・ベラルーシからのカリウムの供給が滞ったことも「追加要因」であり、まさに「泣きっ面に蜂」状態であったと言えます。

 こうした構造的な問題を見ていくと、今は価格が多少おちついたとはいえ、世界で別の問題が起これば、また、価格が高騰し、農業の経営にも深刻な打撃を与えられるということになりかねません。ここにいたって、原料の大部分を輸入に頼った化学肥料中心の農業のあり方が問われてきています。

堆肥の利活用の動き

 こうしたなかで、身近な地域にある有機資源に着目し、地域にある堆肥を肥料として活用することで、コストの低減や肥料の安定的な確保を図ろうとする動きが起こっています。

 農林水産省も、2023年1月には「国内肥料資源利用拡大対策事業」を打ち出しました。その基本的な考え方は次の3点です。

1.海外からの輸入原料に依存した肥料から、国内資源を活用した肥料への転換を進め、国際情勢に左右されにくい安定的な肥料の供給と持続可能な農業生産をめざす。
2.このためには、肥料の原料供給者・製造事業者・利用者が連携して取り組むことで、3者ともメリットのある取組を目指すことが必要。
3.関係者の連携による 「農家が使いやすい肥料」作りを後押しすることで、国内肥料資源の利用拡大を推進する。

農林水産省の政策資料より転載

 2月22日には農水省の呼びかけで、原料供給事業者(畜産事業者、下水事業者等)、肥料製造事業者、耕種農家(JA等)の関係者が一堂に会し、「国内肥料資源の利用拡大に向けた全国推進協議会」を設立しました。

 このもとで、原料供給者・製造事業者・利用者の相互連携、マッチングをはかるためのマッチサイトも開設されています。このサイトでは、関連事業者のニーズ等に関する情報を一元的に収集し、互いに閲覧できて、自主的に連絡をとりあってマッチングをおこなえるようにしています。
 ■国内肥料資源の利用拡大に向けた関係事業者間のマッチング支援の取組について

 また、各事業者向けにも成分分析への支援等具体的な支援事業を実施しています。その具体的内容については、最後でふれたいと思います。

 こうした政策を打ち出した背景には、「農林水産業の二酸化炭素排出実質ゼロ」にむけ、化学肥料30%削減や化学農薬の使用量半減、有機農業100万haという目標を掲げた農水省の「みどりの食料システム戦略」があります。

それぞれの堆肥の特徴を活かす

 国内肥料資源の重要な要素として堆肥があります。堆肥というと、慣行農法を進められている農家さんのなかでは、あくまでも「土壌改良剤」という位置づけで、肥料としては考えていない方も多くおられるのではないかと思います。ある農家さんは、「堆肥にはできるだけ肥料成分は入っていない方がいいんだ」とおっしゃっていましたが、そこには肥料成分はあくまでも化学肥料で供給するので、堆肥に下手に肥料成分が多いと肥料過多になって困るという考え方があるのでしょう。

 他方、有機農業や環境保全型の農業をすすめておられる農家さんは、肥料成分の供給源として堆肥を使われています。原料を海外に依存した化学肥料の価格が高騰し、その安定確保も危うくなっている今、堆肥をはじめとする国内の肥料資源は重要な意義を持つようになっています。

 堆肥にも色々な種類があり、その特徴をうまく活かす必要があります。たとえば、鶏糞堆肥は、牛糞堆肥や豚糞堆肥にくらべて窒素成分が多いので、窒素成分を好む作物には向いていますが、水田などに使うと窒素過多になってしまい、せっかく育った稲が倒伏する危険性もあります。

 また、バーク堆肥には、窒素、リン酸、カリなどの大量要素の含有率は低いですが、ミネラル分が多く、炭素分が多いです。そのため、これまで化学肥料中心の施肥をおこなっていた圃場で、肥料の三大要素が多いが、有機物やミネラル分が少ないような土壌を改善するのは役立つかもしれません。

 今日の時点で、堆肥を活用する意義としては、つぎの4点があると考えます。

 ・地域のバイオマス資源を活用することで肥料の自給率を高める
 ・肥料コストの低減をはかる。
 ・化学肥料の多用によって低下した地力を高める
 ・堆肥に含まれる難分解性の炭素の貯留によりCO2の吸収源とする

堆肥を適切に使うために大事なこと

 しかし、地域の堆肥を活用するといっても、やみくもに使ってしまうと、肥料成分が十分に作物に吸収されず、成長がわるくなったり、肥料過多になったり、カビを発生させるなど、逆に様々な障害が起こってしまいます。これは、農水省の「国内肥料資源利用拡大対策事業」でも指摘されている点です。

 堆肥を適切に活用するためには、①まず土壌診断を行い、土壌の状態を可視化したうえで、その状態に応じて、適切な種類の堆肥を、適切な量で施肥していくこと、②良質の堆肥を選ぶこと、の二点が重要となります。

 ①に関していうと、堆肥の場合は、肥料成分の多くが直物に直接吸収されない有機物の形で含まれていて、それらが土壌中の微生物のはたらきによって、じわじわと分解されて、植物が吸収できる形に分解されていきます。そのため、土壌診断にあたっては、土壌中に含まれる肥料の状態だけでなく、微生物の状態も把握するのが理想です。

 立命館大学で開発されたSOFIX(土壌肥沃度指標)という土壌診断技術は、従来の土壌診断で分析する土壌の「化学性」(肥料成分等)や「物理性」(土の硬さ、水はけ等)の分析に加えて、「生物性」ーー微生物の量やその動き、そのエサとなる有機物の量とバランスを分析することができます。また、分析結果にもとづいて、堆肥や有機資材を適切に入れていく施肥設計を行うことができます。その詳細については、今回は触れませんので、下記のサイトをご覧ください。
 ■SOFIXとは

 ②に関してですが、地域の堆肥の製造・販売元としては、堆肥メーカーが製造・販売しているものから、畜産農家が製造・販売しているもの、自治体やJAなどで製造・販売しているものなど千差万別です。また、品質も千差万別であり、必ずしも畜産農家のものがメーカーのものに劣るとは限らず、値段が高ければ必ず善いというわけでもありません。

 冒頭でも述べたように、土壌診断技術SOFIX(肥沃度指標)技術の一つであるMQI(堆肥品質指標)では、堆肥の品質を特A、B、Cの4段階で評価することができます。(図1)

図1MQI(堆肥品質指標)のパターン判定

MQIによる堆肥評価の基準

 では、SOFIXでは堆肥を評価をどのような基準で行っているのでしょうか?

 SOFIXでは、堆肥を分析する指標として、MQI(堆肥品質指標)という分析サービスを提供しています。

 測定項目は、①通常の肥料成分の分析の4項目(硝酸態窒素、可給態リン酸、交換性カリウム、アンモニア態窒素)に、②物質循環にかかわる分析の6項目(全炭素量、全窒素量、全リン量、全カリウム量、C/N比、含水率)と、③堆肥中の総細菌数を加えた11項目です。

 MQIでは、鶏糞堆肥、鶏糞以外の動物性堆肥、植物性堆肥、その他堆肥(食品残渣、ぼかし肥料等)など各種堆肥の特徴に合わせて4つのカテゴリーに分けて、評価基準を設け(表2)、パターン判定と特A、A、B、Cの評価を行っています。

表2 MQIの評価基準

測定項目推奨値
動物性堆肥
(鶏ふんを除く)
鶏ふん堆肥植物性堆肥
(バーク堆肥等)
その他堆肥
(残渣、ボカシ等)
◆全炭素(TC)(mg/kg)≧200,000≧200,000≧200,000≧200,000
◆総細菌数 (億個/g-土壌)≧10≧10≧10≧10
◆全窒素 (TN(N)) (mg/kg)≧12,000≧30,000≧5,000≧12,000
◆全リン (TP(P)) (mg/kg)≧6,000≧13,000≧2,000≧6,000
◆全カリウム (TK(K)) (mg/kg)≧15,000≧20,000≧4,000≧15,000
◆C/N比< 20< 15< 30< 20
◆含水率 (%)< 35< 35< 35< 35

 図2は、生糞が微生物の発酵作用によって、しだいに堆肥になっていく様子を模式化したものです。茶色が窒素量(N)、ねずみ色が炭素量(C)です。 生糞の状態では、炭素(C)と炭素(N)の比率(C/N比)が40前後ぐらいですが、微生物の発酵作用によって温度が上がり、しだいに炭素成分がCO2 として空気中に放出され、水分(H2O)も蒸発していきます。そして、C/Nが20前後となって、発酵がとまります。

図2 堆肥の発酵の模式図

 そうした点を踏まえて、表2の評価基準では、まず、発酵の基質として、全炭素量が200,000mg/kg以上、発酵のエンジンである総細菌数が10億個/g以上、含水率が35%未満であることを重要な基準としています。

 C/N比については、鶏糞以外の動物系堆肥は20未満、鶏糞堆肥は15未満、植物系の堆肥は30未満です。

 これらの基準を満たしていれば、基本的に「完熟堆肥」だと言えます。

 MQIの判定基準では、上記に加えて、鶏糞堆肥、鶏糞以外の動物系堆肥、植物系堆肥、その他堆肥に含まれる肥料成分(全窒素量(TN)、全リン量(TP)、全カリウム量(TK))を考慮して、それぞれの堆肥のデータの傾向性を8つのパターンに分類し、それらを堆肥の品質という観点から特A、A、B、Cの4段階にランク付けしています。

 表2の評価基準をすべてクリアしていれば特Aです。以下、全炭素量(TC)と総細菌数は評価基準を満たしているが、C/N比や含水率の基準値を満たしていないとパターン2=A1、全炭素量(TC)・全窒素量(TN)・細菌数は基準値を満たしているが、全カリウム量(TK)が基準値を満たしていないとパターン2=A2…というように評価しています。

 これらのパターン判定と評価を見ていくと、その堆肥の品質を数字で明確に評価できますし、たとえ評価が低くても、改善の課題が明らかになります。

表3 MQIと評価とパターン判定の内容

評価パターン判定基準コメント
特A1全項目OK全炭素と肥料成分が十分でバランスが良好な堆肥
A12C/N比と含水率以外の項目がOK全炭素と総細菌数は十分だが、肥料成分のバランスがやや悪い
A23全炭素量・全窒素量・総細菌数はOKで全カリウム量がNG全炭素・全窒素・細菌数は十分だが、カリウムの成分が少ない堆肥
A34全炭素量・全窒素量・総細菌数はOKで全リン量がNG全炭素・全窒素・細菌数は十分だが、リンの成分が少ない堆肥
B15全炭素量・全窒素量・総細菌数はOKで全リン量・全カリウム量がNG全炭素・全窒素・細菌数は十分だが、リンとカリウムの成分が少ない堆肥
B26全炭素量・全窒素量・総細菌数はOKで全窒素量がNG全炭素・細菌数は十分だが、窒素成分が少ない堆肥
B37全炭素量はOKで総細菌数がNG全炭素は十分だが細菌数が少ない堆肥
C8全炭素量がNG炭素成分が不足しており、未完熟の可能性がある。

 

牛糞堆肥はC評価が68%

 では、一般に流通している堆肥をMQIで評価してみると、どうなるでしょうか?

 図3は、鶏糞堆肥、牛糞堆肥、豚糞堆肥、その他堆肥のMQI評価結果をまとめたものです(集計対象:2018年6月~2021年4月 556検体、2021年10月18日、SOFIX実践事例研究会、松田発表資料より)。

図3 各堆肥の評価の比率

 これによると、牛糞堆肥は68%がC評価であり、特Aは5%、Aは8%、Bは19%でした。牛糞堆肥の場合は、含水率が50%前後という堆肥が多い傾向があります。含水率が50%ということは、重量の半分が水ということになります。発酵や乾燥が不十分で、水分が残っており、その分、肥料成分も薄まっていて、多くの基準値がNGとなっていると思われます。なかには、野ざらしで堆肥を堆積されいるところもあり、そうしたところでは含水率が高くなっています。

 他方、鶏糞堆肥はCはわずか15%で、特Aは22%、Aは2%、Cが61%となっています。鶏糞堆肥の場合は、養鶏場に乾燥機能を備えた堆肥化装置を設置されているところが多く、含水率が35%以下になっているところが多いので、C評価が少ないのではないかと考えられます。

 以上のデータは、限られたデータを取りまとめたものですが、実際に流通している堆肥の傾向をある程度反映したものだと思われます。

 いずれにしても、とくにC評価の堆肥を使っている場合、十分な肥料効果が期待できないばかりか、何らかの障害を引き起こす可能でもあるので、十分な注意が必要となります。

まずは堆肥、有機資材を分析してみよう

 堆肥のユーザーである農家さんには、普段使っている堆肥や有機肥料、あるいはこれから使ってみようと考えている堆肥や有機肥料を一度、MQIで分析して、データを具体的に見てみることをお勧めします。数字から、普段気づかないことが見えてくる可能性が高いです。

 また、畜産農家や堆肥・有機肥料製造メーカーの方にも、製造・供給している堆肥についてMQI分析をされることをお勧めしています。「特A」評価であれば農家にとって使いやすい完熟堆肥として広く宣伝することができます。それ以外の評価であっても、堆肥を改善していくための指標として使うことができるでしょう。

 さきに紹介した農林水産省の「国内肥料資源利用拡大対策事業」では、国産の堆肥や有機肥料の利用を促進するため、各事業者別に堆肥の成分分析などをはじめとする補助事業を進めています。

 たとえば畜産農家など、肥料原料供給者むけには、肥料製造業者が使いやすい原料を供給するために、堆肥の成分や堆肥原料の分析や検査体制の整備、堆肥の高品質化・ペレット化に要する設備、機械の導入などへの支援を行っています。

 肥料製造業者向けには、農家が使いやすい肥料の製造のため、ペレット設備の導入や肥料の施策、原料供給業者との検討や肥料の成分分析、臭気・衛生対策の設備の整備への支援をおこなています。

 そして堆肥や有機肥料を使う農家向けには、散布機の導入や圃場での栽培実験、流通・保管設備の整備、新肥料への不安払しょくのための勉強会等への支援を行っています。

 これらの施策を有効に活用して、堆肥や有機資材のMQI(堆肥品質指標)の分析をしてみましょう。ソイル・コミュニケーション合同会社では、分析の進め方等について無料でご相談に応じています。

 SOFIX(土壌肥沃度指標)、MQI(堆肥品質指標)分析メニュー・価格の確認や分析の申し込み、ご相談、お問い合わせは、下記からお願いします。

 この記事が、国内肥料資源の有効活用に何らかの形で貢献できれば幸いです。

 【分析・診断メニュー】

 【SOFIXやMQIへの問い合わせ先】

 【農林水産省「国内肥料資源利用拡大対策事業」】

 

以上

”ソイル・コミュニケーションズ”のホームページを立ち上げました

 2022年もあと1日を残すのみの年末ぎりぎりとなりましたが、このたび、満を持して「ソイル・コミュニケーションズ」のホームページを公開いたしました。

 あわせて、Facebookページも開設しました。 
 https://www.facebook.com/soilcoms

 「ソイル・コミュニケーションズ」は、一般社団法人SOFIX農業推進機構の理事・事務局長であった松田文雄が、2022年4月に同機構を退職後、機構のビジネスパートナーとして設立した個人事業です。その目指すところは、農業の基本「土づくり」から持続可能な社会の実現をめざすことです。

 この目標の実現のため、「ソイル・コミュニケーションズ」は、「土づくり」をキーワードに、つぎの3つのコミュニケーション=対話を促す役割を果たしていきたいと考えています。

1.土壌と人間との対話: 有機農業や環境保全型農業にとって重要な土壌の生物性についてSOFIX(土壌肥沃度指標)技術をつかって「見える化」し、より良い「土づくり」のための処方箋を提供します。

2.農業生産者と生活者(消費者)の対話: 農業生産者と生活者(消費者)との交流や参加型有機農業の仕組みづくり、「土づくり」にこだわった健康な農産物を消費者に提供する仕組みづくりを行います。

3.過去・現代・未来についての対話: これまでの農業や地域の歴史を踏まえ、持続可能な社会の実現のため、「土づくり」の角度からSDGsや「みどりの食料システム戦略」、地域循環共生圏、農地の炭素吸収、生物多様性などに関する地方自治体、企業、NPO等でのプロジェクトの立ち上げ、推進のサポートなどをおこないます。

 詳しくは、このホームページの「サービス」欄をご覧ください。

 私事ですが、私は2018年に前立腺がんの診断を受け、その治療を受けました。このなかで、あらためて食を見直し、食のところから自然免疫力を高めることの重要さを身をもって痛感しました。

 近年、大腸内の微生物叢が人間の自然免疫力に大きな役割を果たしていることが注目されています。また、腸内の微生物の動きと土壌内の微生物の動きが良く似ているとされています。

 土壌微生物が活発な健全な土壌からとれた、健康な農産物を多くの人々がいつでも手軽に手に入れ、心身ともに健康で楽しい生活を送れるような社会の仕組みづくりに貢献していきたい。これが、ライフワークとして「ソイル・コミュニケーションズ」を設立した私の思いです。

 ホームページを立ち上げ、自分たちの想いや情報を発信すれば、必ず、色々な方から情報や思いを頂けます。この日を新たな出発点として、多くの方と対話しながら、農業の基本「土づくり」から、健康で楽しい生活を送れる社会の実現をめざして頑張りたいと思います。

 写真は、新年準備のためのお客さんで賑わう京都・錦市場の様子です。この1年、お世話になった方々に心よりお礼を申しあげます。新しい年、2023年が皆様にとって、そして私にとっても素晴らしい年となることを祈念しております。
 
 どうぞよろしくお願い申し上げます。

ソイル・コミュニケーションズ 代表 松田文雄