良質の堆肥にミネラル成分等を加えた有機肥料「SOFIXパウダー」の販売を開始しました

 ソイル・コミュニケーション合同会社は、SOFIX技術を活用して開発された有機肥料、SOFIXパウダー(生産者:株式会社SOFIX)の販売を開始しました。

 1月24日にはその第1号として、京都の農家さんにSOFIXパウダーの20ℓ袋を30袋納品させていただきました。

 有機農業や持続可能な社会の在り方が注目され、また化学肥料の価格が高騰する中で、堆肥などの有機肥料への関心が高まっています。

 しかし、従来の堆肥、有機資材には次のような課題がありました。

■堆肥の課題

・原材料の違いにより、含有成分が大きく異なる。
・製造者や製造ロット間によって含水率などの差異が大きい。
・保存期間中に、微生物の働きによって成分が変化する場合がある。
・ミネラル成分等、不足成分がある。

■有機資材(米ぬか、油カス等)

・原材料の違いにより、含有成分が大きく偏っている。
・単一の資材だけでは肥料成分を補えない場合が多い。
・土壌中での分解に時間を要する場合が多い。

参考:肥料コスト低減につながる堆肥を使うには品質の見極めが大事

 SOFIXパウダーは、このような課題を解決するために開発されました。具体的には、品質の良い堆肥(MQI分析で特A評価)に、不足しているミネラル成分等を補い、粉砕・ブレンドしました。 有機態の窒素、リン、カリウムなどの栄養成分が、バランス良く含まれている有機肥料です。 水分量を5%以下にし、微生物が休眠状態となっているので、安定した品質を保証します。

 もちろん、化学肥料の成分はいっさい含まれていません。

 肥効は、使用時に水が加わることで微生物が活性化し、徐々に肥効が表れます。

 当ホームページでは、今後、SOFIXパウダーの活用事例なども紹介していきます。

 価格は、20ℓ入りで1袋2,200円(税込)・送料別です。納品時期・納品方法等については、お問い合わせフォームよりお問い合わせ願います。

SOFIXパウダーを施用し生育が改善した花菜の圃場

SOFIXパウダーの概要(特殊肥料入り指定混合肥料生産業者保証票から)

肥料の名称SOFIXパウダー
保証成分量(%)窒素全量2.7%、加理全量4.4%、りん酸全量1.2%、炭素窒素比14
原料の種類特殊肥料(9割):牛糞堆肥、米糠、鶏糞堆肥
普通肥料(肥料の品質の確保等に関する法律第4条第1項第3号に掲げるものを除く):植物質類、指定配合肥料(植物質類、骨粉質類)
備考:1.重量割合の多い順です。
2.( )内は指定配合肥料又は堆肥の原料です。


土づくりから健康で楽しい生活を送れる社会の実現へ――2024年 新年のご挨拶

ソイル・コミュニケーション合同会社
代表社員 松田文雄

 皆様、新年おめでとうございます。

 穏やかな正月を突然断ち切るようにおこった能登半島地震。犠牲になられた方にお悔やみを申し上げます。被災された皆様にお見舞いを申し上げるとともに、一刻も早い復興を祈念しております。

ソイル・コミュニケーションという社名に込めた思い

 ソイル・コミュニケーション合同会社は、当社代表・松田の個人事業を法人化し、昨年(2023年)3月に設立いたしました。

 ソイル・コミュニケーションという社名に込めた思いは、地球温暖化や担い手の高齢化などにより日本の農業が危機的な状況におかれているもとで、農業にもっとも重要な「土づくり」を基本にした3つの対話(コミュニケーション)ーー①土壌と人間との対話、②農業生産者と生活者との対話、③過去・現在・未来との対話ーーを通じて、持続可能な社会を実現することです。そのめざすところは、だれもが健康で楽しい生活を送れる社会です。

▶【詳細】ソイル・コミュニケーションの3つの対話

理念実現へむけて第一歩

 昨年は、非常にゆっくりとした歩みではありましたが、この理念の実現へむけた第一歩を歩み始めました。

 「1.土壌と人間との対話」に関しては、SOFIX(土壌肥沃度指標)技術を活用して、各地の農家さんの土壌の分析、分析結果の解説、土壌の処方箋の作成などのお手伝いをさせていただきました。

 6月26日に開催された第13回SOFIX実践事例研究会(一般社団法人SOFIX農業推進機構主催)では、一昨年来、福岡のトマト農家さんに伴走して取り組んだトマト青枯病低減の事例について発表させていただきました。

 「2.農業生産者と生活者との対話」に関しては、福岡県朝倉市で、高齢化と担い手不足、九州北部豪雨災害の影響で耕作放棄された果樹園を観光果樹園として復活するプロジェクトを支援させていただきました。

 11月11日には一般社団法人日本養生普及協会学術集会に参加し、地域全体で、健康的な生活を送れるようなコミュニティをつくること、そのなかには、旬の食べ物を食べ、季節に根差した祭りやイベントなどを通して、地域の人々がつながっていくことが重要であることを学びました。そのようなコミュニティづくりのため、「土づくり」の側面から参画させていただく方向で日本養生普及協会様とも意見交換をさせて頂いています。

 「3.過去・現在・未来との対話」では、神戸学院大学が取り組んだ「土壌中の炭素貯留による低炭素社会の構築のための学校校庭の芝生化と有機農業の推進」という研究プロジェクトに参画させていただきました。このプロジェクトでは、学校の校庭の芝生化によって炭素貯留がすすむことについての有意なデータを得ることができました。

「農的生活」を楽しむ人々も持続可能な農業を支える

 以上のソイル・コミュニケーション合同会社の仕事とは別に、私は、昨年5月から個人の立場でNPO法人京都土の塾に参加させていただきました。

 京都土の塾は、私の自宅の近くの京都市西京区大原野石作地区の耕作放棄地約3haを整備して、農薬、化学肥料はもちろん農業機械さえ使わず、ツルハシ、スコップ、鍬、鋤等を使い、自ら体を張って土と向きあい、さまざまな農産物を創っています。

 その理念は、経済効率優先の現代において、お金さえあればなんでも買え、人まかせ、季節無視、産地無視の「食」が当たり前のようになっている社会のありかたに疑問を呈し、「楽を求めるのではなく、他の生きものと対等な”素手”で、自分たちの食べ物を作り、自然界の命を”生命の糧”としていただく」ことです。

大根の間引き作業

 私はこの塾に参加して、鍬やスコップで額に汗をしながら育てた季節の野菜の美味しさ、ありがたさに感動しています。11月以降は、スーパーなどで一切野菜を買う必要はなく、畑で採れたての野菜で日々の食事を作っています。こんなにワクワクした経験ははじめてです。

 京都土の塾には、こうした「農的な生活」に共感される多くの方々が参加しています。こうした動きは、プロの農家さん、農業法人とならんで、今後の日本の農業を支える重要なファクターにあるのではないかと感じました。

多くの皆様のご支援に感謝いたします

 少し脱線しましたが、以上のように、亀のような歩みでありますが、何とか前進できたきたのも、数多くの方々のご支援のおかげです。改めて御礼を申し上げます。

 2024年も、ソイル・コミュニケーションが掲げる3つの対話を忘れず、活動していきたいと考えます。

 皆様のご指導、ご鞭撻をよろしくお願い致します。

環境先進都市から有機農業の推進へーー「オーガニックビレッジ宣言」を発した亀岡市の取り組み

 11月4日(土)、ひとまち交流館京都(京都市下京区)で、亀岡市の有機農業の取り組みについての講演会と映画『種とゲノム編集の話』の上映会が開催されました。主催は、京都種子(タネ)と食の安全を守る会準備会で、約40人が参加しました。

 主催者あいさつの後、京都府内でいち早く「オーガニック・ビレッジ宣言」を発して、精力的に有機農業を推進している亀岡市の取り組みについて、亀岡市役所の農林振興課副課長である荒美大作さんから、要旨つぎのような講演がありました。

分かりやすく講演する荒美さん

①亀岡市の概要

 亀岡市は、京都市の西隣にあり、人口は約87,000人。湯の花温泉保津川下り嵯峨野トロッコ列車などの観光資源があり、最近ではサンガスタジアムが開設されている。

 農業の特徴としては、農業経営体が1,487(うち法人30)、経営耕地面積1,641ha。農業出荷額は62億円(2021年)で、これまでは米や野菜が多かったが、最近は鶏類の伸びが大きい。

 有機農業への取り組みは、農林業センサス(2020年)によると経営体の7%、作付面積の5%となっている。

 しかし、全国の農村地域とおなじように担い手不足が深刻化しつつあり、農業従事者は2020年から2030年の10年間で47.5%がリタイアする可能性がある。

②これまでの取り組み

 亀岡市では、全国に先駆けてプラスチック製レジ袋の提供を禁止する条例を施行するなど、「環境先進都市」を目指す取り組みをおこなっている。そのきっかけとなったのが、保津川にプラスチックごみが散乱していることだった。そこから、2004年に保津川下りの船頭さんによる清掃活動が始まった。その活動がだんだんと広がり、2008年には保津川の環境保全に取り組むNPO法人プロジェクト保津川が発足した。その動きは、やがて行政も動かして、2015年には亀岡市が「環境先進都市を目指すビジョン」を制定した。

 2021年には「亀岡市プラスチック製レジ袋提供禁止に関する条例」が施行されるに至った。

 こうした環境先進都市の取り組みの発展として、市として有機農業を推進するようになった。その背景の一つは、新規就農者のなかで有機農業を希望する人が増え、85名の新規就農者のうち24名が有機農業を実践(2021年度)していることである。市としても、農業の担い手の確保、農産物の高付加価値化、農業由来の環境負荷の低減という観点から有機農業の推進を加速化している。

 これまでに取り組んできたことは、次の通り。

(1)生産者への補助制度の創設
・有機JAS認証の取得支援(3年間 1年目7/10、2年目6/10、3年目5/10)
・土壌診断の費用の補助
・給食での有機米・野菜購入に対する差額支援

(2)保育所・学校給食への有機野菜・米導入
 有機農産物の販路確保のための出口戦略として、保育所・学校給食への有機米・野菜の導入を進めている。小学校の給食は、市内の全ての学校の給食を1ヶ所のセンターで調理している。午前中にすべて調理をして、給食を届けるためには、野菜を機械でカットする必要があり、1日5,000食分となるとある程度形や大きさなどの規格を揃えないとと間に合わない。しかし、現状では、有機栽培の野菜でそれだけそろえるのは難しいので、まず自園で調理をしている保育所やこども園から有機野菜を供給している。小学校については、野菜ほど規格が細かくないため、有機米から進めている。

(3)オーガニックをすすめる団体との連携
亀岡オーガニックアクション(有機米栽培)
自然派京都有機農業推進協議会(研修会開催等)
かめまる有機給食協議会(有機野菜提供・マルシェ)

 農水省は、「みどりの食料システム戦略」を打ち出し、2050年までに耕地面積に占める有機農業の取り組み面積の比率を25%にまで引き上げることを打ち出し、国としても有機農業を進める方向へ舵を切った。

 亀岡市としても、農水省が進める「オーガニックビレッジ」に手を上げ、2023年2月12日に「オーガニックビレッジ宣言」を発した。これまで有機農業の推進で実績を積み重ねてきた自治体に比べたら、亀岡市はまだ始まったばかりだが、「オーガニックビレッジ宣言」を発したのは全国で二番目だった。

③これからの取り組み

これからの取り組みとしては、有機農業を地域ぐるみで推進するために
①地産地消・給食への展開拡大
②有機農業の学校(来年2月開講)による育成プログラム
③亀岡市独自の有機認証制度の検討
④有機農業の拠点としての「オーガニック・ビレッジパーク」の整備など、市民参加の推進
などを進めていく。

 以上のような荒美さんの熱のこもった講演にたいして、参加者は熱心に聞き入っていました。講演後の質疑応答でも、「亀岡市の有機農業への予算はどれぐらいになっているのか」「プラスチックごみをなくす活動と有機農業推進とを結び付けて欲しい」「有機農産物を選ぶという消費者の意識改革も必要ではないか」「有機農産物が一部のお金がある人だけでなく、お金のない人にも行き渡るようにしてほしい」など、様々な角度からの質問や意見が出され、荒美さんとのさらに討論を深めました。

 このイベントの後半では、農業にとって大事な種子の問題を考えるための素材として、映画『種子とゲノム』が上映されました。この問題についても上映後、意見交換がおこなわれました。

参考情報
「オーガニックビレッジ宣言」を行っている長野県松川町では、一般社団法人SOFIX農業推進機構が協力機関として参画し、SOFIX(土壌肥沃度指標)による土壌診断を実施。
 ・農林水産省ホームページ 松川町の取組概要
 ・第12回SOFIX実践・事例研究会 長野県松川町でのオーガニックビレッジの取組

圃場の整地に着手:耕作放棄された果樹園復活プロジェクト進捗④

 福岡県朝倉市では、6年前の2017年の豪雨水害で耕作放棄せざるを得なくなった果樹園(柿)の復活プロジェクト(クラウドファンディング)が進められています。

 この大水害では、果樹園に通じる公道が土砂崩れで埋まり、農家さんが果樹園へ行くことができなくなりました。公道ですので、行政が費用の9/10を負担して復旧することが可能でしたが、残りの1/10(約100万円)を高齢の農家さんが負担することが困難となり、復旧をあきらめざるを得なくなりました。そのため、かつては果樹園はすっかり荒れ果てています。

 そうしたなかで、大阪の国際物流会社を早期退職して故郷である朝倉へ戻った原田淳一さんが、この果樹園の復活を目指して、まずから重機を操縦しながら土砂に埋まった公道の復旧や圃場の整地作業に取り組んでいます。

 原田さんからの最新の進捗レポート(その4)を頂きましたので、共有します。

 クラウドファンディングの方は、締め切りまであと3日です。皆様の応援をお願いします。


進捗レポート(その4)・圃場整地に着手しました

 前回のレポートで土砂に埋まった公道が再開できたことを報告しました。引き続いて、圃場の整地に着手しています。

 まず細長い段々畑の3‐5段目の土砂撤去と整地を始めました。

 次の1番目の写真は、段々畑3段目から宮地嶽神社を望んだものです。2番目の写真は、外からこの果樹園を写したものであり、まんなかあたりの地肌が見えてる所が整地後の3‐5段目の畑となります。

段々畑の3段目から宮地嶽神社を望む
果樹園の外観。真ん中の地肌が見えている場所が整地後の段々畑

 次の3枚の写真は、3段目の細長い圃場から土砂撤去をしている様子を、順番に並べました。

土砂撤去①

 最後の写真は、土砂を撤去して、圃場を整備したあとの様子です。

整地後の圃場

「丹波地域農業経営士・女性農漁業士・青年農業士合同研修会」で事例紹介(8月18日)

 このたび、当社代表社員の松田文雄が、8月18日に兵庫県丹波市で開催される「丹波地域農業経営士・女性農漁業士・青年農業士合同研修会」で、関西発のスタートアップ企業の一員として、SOFIX技術や事例の紹介をさせて頂くこととなりました。

 兵庫県丹波地域では、産学官民が一体となって内外の人の力を結集して地域発のイノベーションを推進するイニシアティブとして「シリ丹バレー構想」が2021年度からスタートし、2022年2月にはその推進機関としての「シリ丹バレー推進協議会」が発足しています。また、兵庫県丹波県民局と関西経済連合会が、2022年8月にシリ丹バレー推進等に関する連携協定を締結し、以後、女性起業家活躍や木材活用などをテーマに共同して事業を実施してきました。

 今回の研修会は、丹波県民局(シリ丹バレー推進協議会)が、関西経済連合会とともに、丹波地域の農業分野において指導的立場で活躍する農業経営士、女性農漁業士、青年農業士の合同研修会において、関西地域のスタートアップ企業による農業に関する新たな技術や最先端の取組の事例紹介(ピッチ)を行うため企画されました。

 事例発表を行うスタートアップ企業は、当社のほか、パワーアシストインターナショナル株式会社様遊士屋株式会社様の3社です。

 合同研修会の概要は、以下の通りです。

■日 時: 2023年月18日(金)13時30分~16時30分
■場 所: 丹波の森公苑 セミナールーム(丹波市柏原町柏原5600)
■内 容:
 (1) 県民局長趣旨説明
 (2) 農業経営士等自己紹介
 (3) スタートアップ企業事例紹介
  ア ソイル・コミュニケーション合同会社
  イ パワーアシストインターナショナル株式会社
  ウ 遊士屋株式会社
 (4) 名刺交換・意見交換
■参加者:丹波地域農業経営士、女性農業士、青年農業士(研修会参加者)
■共 催:関西経済連合会、兵庫県丹波県民局(シリ丹バレー推進協議会)
■協 力:関西イノベーションイニシアティブ(代表幹事機関都市活力研究所)

兵庫県の記者発表資料