水害で耕作放棄された果樹園復活へ向けて「植樹祭」を開催

 7年前の九州北部大水害によるがけ崩れ等によって農道や圃場が土砂に埋もれて使えなくなり、耕作放棄地となってしまった福岡県朝倉市の柿の果樹園。ここを、農業体験やキャンプなどを楽しめる観光農園として蘇らせようと、昨年夏に地元の原田淳一さんが立ち上がり、ユンボ等を使って自力で土砂を取り除く作業を黙々と続け、昨年末についに整備作業を完了しました。そして、2月11日、約20人の支援者を招いて、この樹園地に新たに桃の木を植える「植樹祭」を開催しました。当社代表の松田も、SOFIX診断士である原田さんに長年のお世話になったご縁から、「植樹祭」に参加させていただきました。その様子を動画も交えて報告します。

見晴らしの良い果樹園

 「植樹祭」では最初に原田さんより、「5段になっている畑のうち、上から1~4段目には桃を約120本、5段目には”太秋(たいしゅう)”という品種の柿を34本植え、下の方の果樹園にはすもも50本を植えたい。きょうは、皆さんに眺めを楽しんでもらうとともに、ここで、こういうことをしたらいいというヒントをもらえるとありがたい。」と開会挨拶がおこなわれました。

開催挨拶でこれからの計画を語る原田淳一さん

 植樹祭がおこなわれた場所は、この果樹園がある小高い山の山頂付近で、見晴らしの良い場所です。眼下に広がる田園風景や向かい側の宮地嶽神社のある山の風景が楽しめます。この山の上まで、ヒアピンカーブが続きますが、舗装された農道がとおっているので、自動車で登ってくることができます。

桃の木をみんなで植樹

 つづいて、原田さんの方から、桃の苗木の植え方について参加者のみなさんに実地でレクチャーが行われました。あらかじめ完熟堆肥が施された穴に苗木を入れて、土をかぶせたうえで、地上から60センチぐらいのところで切断します。こうすることで、苗木がゆっくりと肥料を吸って、新しい枝を付けていきます。根の付近のミミズを食べにやってくるイノシシ対策のために木酢液を埋め込み、新芽を食べにくるシカ対策のため、木のまわりに防虫ネットをはっていきます。農家さんの知恵がつまっています。

桃の植樹の仕方はなかなか興味深い

 参加者のみなさんは、このやり方に従って、それぞれ桃の苗木を植えていきました。みんなの力を合わせて十数本の苗木を植えました。「桃、栗3年、柿8年」というように、3年後、どんな桃の実ができるのか、楽しみです。

体験型で楽しめる観光農園ができそう

 植樹の後、みんなでランチを楽しみました。地元の農家・稲葉秀俊さんが経営するレストラン、Cafe楓(ふう)で作っていただいた豚汁、塩おにぎり、そして稲葉さんが手塩をかけて育てた「あまおう」、石焼き芋などがふるまわれました。植樹作業をしたあと、美しい風景を眺めながら、みんなで頂く食事は格別の美味しさがあります。

美しい風景のなかでみんなで食べる食事は美味しい

 この頂上付近はちょっとした広場になっているので、キャンプをしたり、竹細工などの耕作をしたり、電動キックボードで遊んだりと、いろいろな楽しみ方がありそうです。

 果樹園がある朝倉市は、福岡市から電車で約1時間半のところにあります。都市部に生活する人々が 、桃や柿などの栽培や収穫などの農作業やハイキング、キャンプなどを通して身体を動かし、自然に触れ、美味しいものを食べて、人々と交流し、心身ともにリフレッシュする体験型で楽しめる観光農園ができそうです。

地元にUターンして新たな事業

 この果樹園は、2017年の九州北部豪雨災害の影響によって土砂崩れが何カ所もあり、道路が寸断され、柿の木と雑草、蔦がごちゃごちゃになり、使えない状態となっていました。農道は、公道のため、復旧費用の10分の9は行政が負担することができたそうですが、この果樹園を経営していた高齢の農家さんにとっては残りの10分の1の自己負担が難しく、また、実際の普及作業は難しく、果樹園の復活をあきらめざるをえませんでした。

 この果樹園を復活すべく、原田さんが昨年の夏から、ユンボを使ってまず道路を埋めている土砂を除去し、道路が通れるようにしました。つづいて、果樹園のなかの土砂を除去し、倒れたり、枯れたりした柿の木を伐採し、整備をしてきました。

 「使える状態になるとは思っていたが、実際、最初はどこまでやれるのかわからなかった」と、原田さんはこの半年間の作業をふりかえります。

復旧作業への思いを語る原田さん

 原田さんは、この地元朝倉市の出身ですが、大阪で約34年間、国際物流の仕事をされたのちに、2018年に高齢のご両親が住む朝倉市に戻られました。この果樹然復活を決意してからは、地元の農家さんの仲間に入り、多くのことを教えて頂き、サポートをしてもらいながら、新たな事業を始めています。

 日本の農業の担い手の高齢化がすすみ、地球温暖化による気候変動や激しい風水害などにより、農業をめぐる条件はますます厳しくなっています。全国の農耕地の面積は、1961年の608.6万haから2023年には429.7万haへと約29%も減少しています。

減少する日本の農耕地(グラフは農水省「荒廃農地の現状と対策」2024年1月より引用)

 「荒廃農地」は、2021年時点で全国で25.3万haまで拡大し、そのうちの64%の16.3万haが「再生困難」とされています(2021年「耕地面積調査」、2021年「遊休農地に関する措置の状況に関する調査」)。2020年の「基幹的農業従事者」の平均年齢は、67.8歳。また、65歳以上が主体の農家・農業法人のなかで、「5年以内に農業経営を確保している」のは僅か28%にすぎません(2020年「農業センサス」)。このままいくと、10年もすれば、耕作放棄地が一気に広がるという危惧もあります。耕作放棄地は、耕作放棄地はまわりの農地にも悪影響を与えるのみならず、さらに広がれば日本の食料生産の根幹を危うくしかねません。

日本の荒廃農地(グラフは農水省「荒廃農地の現状と対策」2024年1月より引用)

 このようななかで、原田さんの果樹園復活の取取り組みは、日本の農業を維持するうえで、また、人々の健康で楽しい生活を作り出すうえでも、また、都市部の仕事をリタイアして地方で新たな事業と生き方を創造するうえでも、一つのモデルになりうる取り組みです。

SOFIXによる土壌診断のためのサンプリング

 農業生産にとって、最も重要なことの一つは「土づくり」です。そのため、原田さんとしては、果樹園復活にあたっては、SOFIX(土壌肥沃度指標)による土壌分析を定期的におこなうことを計画されています。そのため、「植樹祭」の参加者の皆さんが帰ってから、原田さんと私で、果樹園の土壌のサンプリングを行いました。 

 サンプリングの場所としては、桃の苗木を植えた果樹園の上段部分と、スモモなどを植える下の部分、そして、原田さんが手本にしようとしている師匠の稲葉さんの桃畑の土壌にしました。まず、目標とする稲葉さんの桃畑の土壌をデータで見える化して、自分の果樹園のデータも分析して、稲葉さんの土壌のデータに近づくように土づくりを行っていく方針です。

 一緒にサンプリングさせていただいた感想として、稲葉さんの土と、まだ復活したばかりの原田さんと土とでは、見た目も触った感じも全然違います。SOFIX(土壌肥沃度指標)では、これらの土壌1g中に何匹の微生物がいるのか、それらの微生物のエサとなる有機物が、どのような量で、どんなバランスであるのか、そして、微生物たちが有機物を分解して、肥料成分を作り出していく活動がどのようになっているかを、数字やグラフで示すことができます。そこから、微生物の数を増やし、その活動を元気にして、植物に肥料成分を安定的に供給できる状態にしていくための「土づくり」の指針も明らかにできます。

 まずは、サンプリングした土壌からどんな分析データが出てきたら、そのデータをもとに原田さんとディスカッションしたいと考えています。

土づくりから健康で楽しい生活を送れる社会の実現へ――2024年 新年のご挨拶

ソイル・コミュニケーション合同会社
代表社員 松田文雄

 皆様、新年おめでとうございます。

 穏やかな正月を突然断ち切るようにおこった能登半島地震。犠牲になられた方にお悔やみを申し上げます。被災された皆様にお見舞いを申し上げるとともに、一刻も早い復興を祈念しております。

ソイル・コミュニケーションという社名に込めた思い

 ソイル・コミュニケーション合同会社は、当社代表・松田の個人事業を法人化し、昨年(2023年)3月に設立いたしました。

 ソイル・コミュニケーションという社名に込めた思いは、地球温暖化や担い手の高齢化などにより日本の農業が危機的な状況におかれているもとで、農業にもっとも重要な「土づくり」を基本にした3つの対話(コミュニケーション)ーー①土壌と人間との対話、②農業生産者と生活者との対話、③過去・現在・未来との対話ーーを通じて、持続可能な社会を実現することです。そのめざすところは、だれもが健康で楽しい生活を送れる社会です。

▶【詳細】ソイル・コミュニケーションの3つの対話

理念実現へむけて第一歩

 昨年は、非常にゆっくりとした歩みではありましたが、この理念の実現へむけた第一歩を歩み始めました。

 「1.土壌と人間との対話」に関しては、SOFIX(土壌肥沃度指標)技術を活用して、各地の農家さんの土壌の分析、分析結果の解説、土壌の処方箋の作成などのお手伝いをさせていただきました。

 6月26日に開催された第13回SOFIX実践事例研究会(一般社団法人SOFIX農業推進機構主催)では、一昨年来、福岡のトマト農家さんに伴走して取り組んだトマト青枯病低減の事例について発表させていただきました。

 「2.農業生産者と生活者との対話」に関しては、福岡県朝倉市で、高齢化と担い手不足、九州北部豪雨災害の影響で耕作放棄された果樹園を観光果樹園として復活するプロジェクトを支援させていただきました。

 11月11日には一般社団法人日本養生普及協会学術集会に参加し、地域全体で、健康的な生活を送れるようなコミュニティをつくること、そのなかには、旬の食べ物を食べ、季節に根差した祭りやイベントなどを通して、地域の人々がつながっていくことが重要であることを学びました。そのようなコミュニティづくりのため、「土づくり」の側面から参画させていただく方向で日本養生普及協会様とも意見交換をさせて頂いています。

 「3.過去・現在・未来との対話」では、神戸学院大学が取り組んだ「土壌中の炭素貯留による低炭素社会の構築のための学校校庭の芝生化と有機農業の推進」という研究プロジェクトに参画させていただきました。このプロジェクトでは、学校の校庭の芝生化によって炭素貯留がすすむことについての有意なデータを得ることができました。

「農的生活」を楽しむ人々も持続可能な農業を支える

 以上のソイル・コミュニケーション合同会社の仕事とは別に、私は、昨年5月から個人の立場でNPO法人京都土の塾に参加させていただきました。

 京都土の塾は、私の自宅の近くの京都市西京区大原野石作地区の耕作放棄地約3haを整備して、農薬、化学肥料はもちろん農業機械さえ使わず、ツルハシ、スコップ、鍬、鋤等を使い、自ら体を張って土と向きあい、さまざまな農産物を創っています。

 その理念は、経済効率優先の現代において、お金さえあればなんでも買え、人まかせ、季節無視、産地無視の「食」が当たり前のようになっている社会のありかたに疑問を呈し、「楽を求めるのではなく、他の生きものと対等な”素手”で、自分たちの食べ物を作り、自然界の命を”生命の糧”としていただく」ことです。

大根の間引き作業

 私はこの塾に参加して、鍬やスコップで額に汗をしながら育てた季節の野菜の美味しさ、ありがたさに感動しています。11月以降は、スーパーなどで一切野菜を買う必要はなく、畑で採れたての野菜で日々の食事を作っています。こんなにワクワクした経験ははじめてです。

 京都土の塾には、こうした「農的な生活」に共感される多くの方々が参加しています。こうした動きは、プロの農家さん、農業法人とならんで、今後の日本の農業を支える重要なファクターにあるのではないかと感じました。

多くの皆様のご支援に感謝いたします

 少し脱線しましたが、以上のように、亀のような歩みでありますが、何とか前進できたきたのも、数多くの方々のご支援のおかげです。改めて御礼を申し上げます。

 2024年も、ソイル・コミュニケーションが掲げる3つの対話を忘れず、活動していきたいと考えます。

 皆様のご指導、ご鞭撻をよろしくお願い致します。

福岡県朝倉市の果樹園復活プロジェクトは新たな段階へ

 福岡県朝倉市で、高齢化と担い手不足、九州北部豪雨災害の影響で耕作放棄された果樹園を復活するプロジェクトが進められており、新たな段階に入ろうとしています。

 この果樹園は、福岡県朝倉市烏集院新立にあります。2017年の九州北部豪雨災害によって土砂崩れが何カ所もあり、果樹園に通じる農道が寸断され、柿の木と雑草、蔦がからまって、かつての果樹園はすっかり荒れ果てていました。

整地前の段々畑

 朝倉市在住のSOFIX診断士である原田淳一さんは、重機を使って農道や畑の土砂を取り除き、古くなった柿の木を伐採し、新たに桃、柿、すももなどを植え付けて、果樹園を復活させることを目指しています。土壌づくりにあたってはSOFIX(土壌肥沃度指標)による土壌分析を予定しています。将来的には、一般の人がこの果樹園で栽培や収穫の体験もできるようにする構想です。

 原田さんは、この構想の実現へむけて、クラウドファンディング(終了済)を行うとともに、今年の夏から、バックホーを使って農道に覆いかぶさっていた土砂を除去する作業を続け8月末には農道を開通させることができました。

 9月に入ってからは、段々畑の土砂撤去と整地に着手し、11月初旬には整地を9割ほど完了し、現在は最後の仕上げに入っています。

 原田さんからは、今後の予定について、次のようなレポートを頂いています。


原田さんからのレポート

 ①下草造り
 近所の養蜂場からレンゲ草の種27kg無償で頂きましたので、畑に撒いてバックホーで整地を兼ねて漉こうと思っています。

 ②イノシシ、鹿対策が急務
 イノシシが苗木を根こそぎ掘り起こし、鹿が新芽を食べますので、電気柵を張ります。さらに竹の柵をはりめぐらし、イノシシ、鹿対策を来年3月までに完成させます。

 ③竹を使った水槽づくり
 直径15cmぐらいの大きな竹が沢山生えてますので、それを使って雨水を集め、竹水筒に流しこんだ水槽を何十カ所に置こうと思ってます。除草剤や消毒散布、渇水時の果樹への散水、手や器具の洗浄に使いたいと思います。
 将来は中空糸膜フィルターやROフィルターを使って浄水作りに取り組む予定です。

 ④電気は発電機
 噴霧器、水中ポンプ、電動工具、電灯など電気が必要な時の為に設置(持運び可能タイプ)を考えております。

 ⑤トイレづくり
 非常用・キャンプ用の簡易トイレを設置します。

 ⑥商品づくり、
 果樹園を訪れた人のために、竹とんぼ組立セット、竹ばしご、竹馬、柿木の薪などを販売用に作ろうと思ってます。

 ⑦古い柿の木の伐採
  桃、柿、すももなどを新たに植えるために、古い柿の木は伐採します。ただし、法面保護のため伐根はしません。

 12月に入ったら、堆肥を入れていきます。年が明けて、1月に入ってからSOFIXによる土壌分析をおこない、桃、柿、すももの定植を行う予定です。

 
==<原田さんからのレポート終わり>==

 当社としては、原田さんの果樹園復活プロジェクトを応援しています。

宮地嶽から見た新立果樹園

有機農業と東洋医学に共通する原理ーー日本養生普及協会の学術集会に参加して

 11月11日の午後、一般社団法人養生普及協会の学術集会にオンラインで参加しました。

 養生普及協会は、東洋医学の「養生」という考え方を現代に活かすことを目的に結成され、当社代表の松田も会員になっています。

 大変興味深い報告が沢山ありましたが、養生普及協会の会長であり、明治国際医療大学の鍼灸学部教授・学部長である伊藤和憲先生のお話がとくに興味深かったです。

 伊藤先生によれば、健康とは、肉体的・精神的だけでなく、社会的にも満たされたものであるべきだと言われています。

 医療は最初は、寿命を延ばすことを目的として、そのために様々な治療やリハビリなどが発展してきました。

 これによって寿命は延びましたが、最後の十数年は寝たきりなど不健康な状態が続くようになったので、次は「健康寿命」が追求されるようになりました。それもいずれ達成されるでしょう。

 その次に今、追求すべきことは、Well Beig ーー 亡くなる直前まで、健康で幸せに暮らせること、自分らしく、自分の価値観で楽しく生きられることです。昔から言われている「ピンピンコロリ」が課題になってきます。

 そのためには、病気にならない生活習慣を身につけていくこと。それが東洋医学で長年培われてきた「養生」だということです。

 ただ、この「養生」は、一人だけでできるものではなく、社会全体、地域全体が良くなることと結びつかないとなかなか実現できないということです。 経済格差が広がれば、健康的な生活習慣を送れない人々が増えるのは、今の現実をみればわかることです。

 そのため、地域全体で、健康的な生活を送れるようなコミュニティをつくること、そのなかには、旬の食べ物を食べ、季節に根差した祭りやイベントなどを通して、地域の人々がつながっていくことが重要となります。また、そうしたコミュニティを通して、地域の農業や観光業などの産業を活性化して、地域を豊かにし、人々の収入が増えることも不可欠です。さらに、こうした養生生活を送ることで、どれだけ健康が増進しているかのデータをとり、蓄積し、ビッグデータでしっかり検証していくこと。こうしたことを養生普及協会では考えておられるということです。

 有機農業と東洋医学に共通する原理があります。それは、病害が発生すれば農薬を使い、病気になればその症状を抑える薬を処方するという対処療法ではなく、農耕地や人間の心身の全体を見て、農耕地の「地力」や人間の「免疫力」を高めることを通じて、病気の根本原因を取り除くことです。

 ソイル・コミュニケーション合同会社は、SOFIX(土壌肥沃度指標)技術を活用し、「土づくり」から有機農業や循環型型の地域社会をつくっていくことを目指しています。この事業も、東洋医学や地域のコミュニティづくりと密接に関連したものです。 まだまだ、当社も非力ですが、養生普及協会さんとも連携を深めていきたいと考えているところです。

学校校庭の芝生化による炭素貯留効果を検証

 11月1日(水)、神戸学院大学で、「土壌中の炭素貯留による低炭素社会の構築のための学校校庭の芝生化と有機農業の推進」というテーマの研究プロジェクトの第2回目の会議が開催され、当社も参加しました。

 この研究は、温室効果ガスの低減の方策の一つとして、土壌への炭素貯留が課題となるなかで、「学校の校庭の芝生化」と「農地への有機肥料の施用」によって土壌への炭素貯留量を増やすことと、それを数字で「見える化」することを目標としています。研究代表者は、神戸学院大学の現代社会学部の菊川裕幸講師で、神戸市の「大学発アーバンイノベーション神戸 研究費助成」事業の支援を受けて、2022~2023年度に取り組まれています。

 2022年度の取り組みでは、学校給食の残渣や地域の有機資源である竹チップを使った堆肥製造の実験をおこないました。

 参考:肥料コスト低減につながる堆肥を使うには品質の見極めが大事

 2023年度は、学校の校庭の芝生化による炭素貯留効果を実測するための土壌分析等を行いました。また、前年度に作成した堆肥による農産物の栽培実験をおこないました。

 当社は、この実験のなかで、堆肥のMQI(堆肥品質指標)分析3項目(総細菌数・全炭素量・全窒素量)分析、土壌の3項目分析と分析データの評価などでをおこないました。

 11月1日の会議では、この間の学校の校庭の土壌の分析結果をどうみていくかについて活発な議論を交わしました。

 この研究プロジェクトは最終的には、神戸市の「地球温暖化防止実行計画」で打ち出されている二酸化炭素吸収源対策を実現することを目指しています。当社も、このプロジェクトに参加して、低炭素社会の実現に貢献できればと考えています。

芝生が張られた場所での土壌サンプリング

圃場の整地→既存の樹木の伐採→土壌診断→新たな植樹へ:耕作放棄された果樹園復活プロジェクト進捗⑤

 6年前の2017年の豪雨水害で耕作放棄せざるを得なくなった福岡県朝倉市の果樹園(柿)の復活プロジェクト(クラウドファンディング)は8月31日で終了しました。残念ながら目標額(250万円)には到達しませんでしたが、15人、149,000円の支援が寄せられました。当社としても、このプロジェクトを応援してきましたが、力不足でした。応援頂いたみなさんに心から感謝申し上げます。

 ただ、このプロジェクトを進める原田さんは、クラウド・ファンディングの成否にかかわらず、果樹園復活へむけて活動を継続されています。

 原田さんより、現状報告および今後の予定についてレポートを頂きましたので、掲載いたします。


進捗レポート(その5)・圃場の整地→既存の樹木の伐採→土壌診断→新たな植樹へ

 前回のレポートでは、土砂に埋まった公道が開通したのを受けて、まず細長い段々畑の3‐5段目の土砂撤去と整地を始めたことをご報告しました。

その後も作業を続けていましたが、今度はバックホーのバケットシリンダーからオイル漏れだしたので暫し作業中断しました。

写真は作業中の段々畑です。

今後は、今後の行程としては、つぎのような作業を予定しています。

9-11月  圃場整地
      既存の柿の木の伐採
      土壌採取
      草刈
      獣害対策
12月初旬  新たに柿、もも、すももの植樹

土壌採取は、3箇所(2箇所と比較のため稲葉さんの桃の圃場1箇所)で採取し、ご支援頂いているソイル・コミュニケーション合同会社の松田代表にSOFIX土壌分析をして頂き健康状態を診て貰います。

      (参考A1評価:総細菌数4.5億個/g、
          全窒素1000、全リン1100、全カリウム2000-10000 (mg/kg)など)
      ①柿の木は根を残して伐採します。残すことで法面の崩落を防いで貰います。

②整地しながら法面から1-2m、樹間6-7mの位置に50cm程の植え穴を掘ってますので、堆肥20Kgと石灰500g、肥料(8-8-8)1kg程度をよく混和して埋め戻します。
 (時間があればトラクターで漉き込む予定)

③来年以降になりますが、剪定しながら枝を法面から手間や横にひもや添え木によって方向を矯正し、安全に収穫できるようにしていきます。

「丹波地域農業経営士・女性農漁業士・青年農業士合同研修会」で事例紹介(8月18日)

 このたび、当社代表社員の松田文雄が、8月18日に兵庫県丹波市で開催される「丹波地域農業経営士・女性農漁業士・青年農業士合同研修会」で、関西発のスタートアップ企業の一員として、SOFIX技術や事例の紹介をさせて頂くこととなりました。

 兵庫県丹波地域では、産学官民が一体となって内外の人の力を結集して地域発のイノベーションを推進するイニシアティブとして「シリ丹バレー構想」が2021年度からスタートし、2022年2月にはその推進機関としての「シリ丹バレー推進協議会」が発足しています。また、兵庫県丹波県民局と関西経済連合会が、2022年8月にシリ丹バレー推進等に関する連携協定を締結し、以後、女性起業家活躍や木材活用などをテーマに共同して事業を実施してきました。

 今回の研修会は、丹波県民局(シリ丹バレー推進協議会)が、関西経済連合会とともに、丹波地域の農業分野において指導的立場で活躍する農業経営士、女性農漁業士、青年農業士の合同研修会において、関西地域のスタートアップ企業による農業に関する新たな技術や最先端の取組の事例紹介(ピッチ)を行うため企画されました。

 事例発表を行うスタートアップ企業は、当社のほか、パワーアシストインターナショナル株式会社様遊士屋株式会社様の3社です。

 合同研修会の概要は、以下の通りです。

■日 時: 2023年月18日(金)13時30分~16時30分
■場 所: 丹波の森公苑 セミナールーム(丹波市柏原町柏原5600)
■内 容:
 (1) 県民局長趣旨説明
 (2) 農業経営士等自己紹介
 (3) スタートアップ企業事例紹介
  ア ソイル・コミュニケーション合同会社
  イ パワーアシストインターナショナル株式会社
  ウ 遊士屋株式会社
 (4) 名刺交換・意見交換
■参加者:丹波地域農業経営士、女性農業士、青年農業士(研修会参加者)
■共 催:関西経済連合会、兵庫県丹波県民局(シリ丹バレー推進協議会)
■協 力:関西イノベーションイニシアティブ(代表幹事機関都市活力研究所)

兵庫県の記者発表資料

SOFIX分析とMQI分析のパターン判定の表記を8月1日から改訂

 株式会社SOFIXは、2023年8月1日以降、「SOFIX (土壌肥沃度指標) 分析のパターン判定・評価」および「MQI (堆肥品質指標) 分析のパターン判定・評価」の表記を変更することを7月27日、同社のホームページで発表しました。

 評価方法・評価基準に変更はありませんが、評価の表記が下記の表1、表2のように変更となります。

 ソイル・コミュニケーション合同会社にご依頼いただいた分析についても、8月1日以降のご依頼分については同様の変更をいたします。

<改訂理由>
 株式会社SOFIXでは、総細菌数が2億個/g以上の土壌をSOFIX土壌として認定しているため、改訂前のパターン判定のB評価以上を認定しておりました。
 しかし、「A評価以上を認定」という形に変更したいという思いから、パターン判定の表記を改訂することとなりました。

 詳細については、株式会社SOFIXから発表された「パターン判定の改定について」をご確認願います。

 引き続きSOFIXのご活用をどうぞよろしくお願い申し上げます。

圃場の健康状態:耕作放棄された果樹園復活プロジェクト進捗②

 福岡県朝倉市で取り組まれている耕作放棄された果樹園の復活プロジェクト(クラウドファンディング)を取り組んでいる原田淳一さんより、最新の進捗レポート(その2)を頂きましたので、ご報告します。

 クラウドファンディングは、250万円の目標に対して、7月24日午後11時30分現在、76,000円(7人)にとどまっています。このプロジェクトに共感いただける方は、下記よりご協力をお願いします。
 【朝倉市烏集院新立の山の段々畑の復旧(CAMPFIRE)】


進捗レポート(その2): 圃場の健康状態

 最初の写真は、山頂の柿畑だった畑をバックホーで耕起している様子です。

 途中に雨が降り、深く掘り過ぎたこともあり、泥濘に嵌りキャタピラーが外れてしまいましたが、直して頂きました。

 細い竹や茎の堅そうな保水力が低そうな草が生えてます。

 教訓1 雨が降った後は作業しない。
 教訓2 作業前にキャタピラーにグリースを挿す(始業点検)

整地中の柿畑

 次の写真は、柿の木が蔓などで覆われ土砂崩れと石が散乱、草が育ってない状態です。

荒廃した柿畑

 次の2つの写真は、現役の柿畑と桃畑です。

 現役の柿畑と桃畑は保水力が高そうな良い草が育ってます。

 これから梅雨があけると晴れた日が続きますので地表の乾燥と水分補給のために適度な草が必要です。

 SOFIX農業推進機構時代から相談に乗って頂いていたソイル・コミュニケーション合同会社の松田代表が、土壌の健康状態と対策案を研究いただけるとのことで、保水力が高い草が生える最適な圃場を目指す上で心強く思っております。

現役の柿畑
現役の桃畑

SOFIX実践・事例研究会で代表・松田がトマト青枯れ病低減の事例を発表

 一般社団法人SOFIX農業推進機構が主催する「第13回SOFIX実践・事例研究会」が6月26日(月)18時~オンラインで開催されます。

 このなかで、ソイル・コミュニケーション合同会社代表の松田文雄が、福岡めぐり菜園の飯田慎也さんとともに、トマト青枯病低減の事例について発表させていただきます。

 詳細のプログラムは下記の通りです。

 この研究会は、同機構の会員向けのプログラムですが、一般の方も1回に限り無料で参加できます。参加の申込は、下記のSOFIX農業推進機構の申込フォームよりお願いします。

第13回SOFIX実践・事例研究会プログラム

日時:2023年6月26日 (月) 18時~ 
   ZOOMによるオンライン方式で開催


<テーマ1>
SOFIXによる施肥と栽培管理でトマトの青枯れ病の抑制と収量の向上を目指す
ソイル・コミュニケーション合同会社 松田文雄
福岡めぐり菜園 飯田慎也


<テーマ2>
除草剤使用により樹勢衰退した サクラの樹勢回復について ~その後の進展状況~
アイキ樹木メンテナンス株式会社 喜多智靖


■参加方法
下記の申込フォームから参加登録してください。すぐに参加の招待状(ZOOMのURL)が自動返信されます。
<ご注意!!>
もし、参加登録したのに1時間以内に返信メールが届かない場合は、返信メールが「迷惑メールフォルダ」に振り分けられている可能性が高いので、ご確認をお願いします。
 参加登録はこちらから 
   ↓
 https://ssl.form-mailer.jp/fms/3a5ad784787926